銃口をふさがれると銃は暴発する?

本を読んであれこれ考えてみよう

Barrel explosion

銃口をふさがれると銃は暴発する?
 若い頃に読んだ本の内容を無条件に信じ込んでいたところ、後にその内容を覆す記述を読んでビックリという事がたまにある。まあ、それはそれで楽しいのだが。
 例えば、銃口をふさがれると銃は暴発すると思い込んでいた。そのような事が書いてある本やマンガはたくさんあるだろう。例えば、

狼の怨歌

平井和正

ハヤカワ文庫SF
p142-143

「いやだといったら、どうする」
「死ぬだけよ。おれが射たねえとでも思ってるのか」
 西城の目がじりっと殺意を放射した。眼窩の奥で燐火が燃えるように底光りしてくる。破壊衝動が巨躯をふくれあがらせたようだ。
「いや、射つだろう。おたくは殺人狂だからな」
 答えざまに、神明の頬がすぼみくわえタバコを吹きとばした。タバコは二メーターをひらめき飛び、西城の四四マグナムの銃口に吸い込まれた。
「射ってみろよ。銃が腔内破裂をおこして、おたくの身体はぐしゃぐしゃだ。プロだったらよく知ってるはずだ。」

「狼よ、故郷を見よ」 地底の狼男(ウルフガイ)

平井和正

ハヤカワ文庫SF
p34

 男はおれの忠告を無視した。罵言をはいて、銃の引金を絞った。自業自得だった。彼の凶悪な過去の生き方が、その瞬間に全額払い戻されたのだ。
 強烈なマグナム弾をおれの腹に向けて吐きだすかわりに、ライフルの銃身は引き裂け、爆発した。炸裂した機関部の鋭い長い破片が彼自身を襲い、顔面部をズタズタにした。
(中略)
 男のライフルの銃腔には雪が詰まっていたのである。羆との死闘を終えたあと、立ちあがろうとして銃を杖がわりに使った。その時銃口から雪が侵入したのだ。ハンターらしからぬ不注意さだった。おれの突撃に泡食って、弾の装填だけに気をとられたからにちがいない。
 銃腔に異物が詰まると、巨大な圧力を持つ燃焼ガスは逃げ場を失い、たやすく腔内破裂を起こす。銃を扱う者には初歩的な常識である。が、沈着さを欠けば、プロでも事故を起こすのだ。

シャドウ・ブルー

山田風見子

p209

 恭介は顎の下に指をかけて唸った。「銃の口に何かを詰め、引き金を引けば、暴発するなあ…。土とかな。粘土状の土を詰めれば暴発するよな。あるいは水滴が凍るだけでも暴発することもあるな…。そうだよ、銃口に水を入れて凍らせておいたんだな。そうすれば細工した跡も残らない。…あ、いや、待てよ。凍るかな、今の季節…」

 新谷かおるの「 バランサー 」にも、銃を持った相手に素手の少年が雪玉で立ち向かうシーンがある。発射しようとする瞬間に雪玉が飛んできて銃口をふさぎ、銃が暴発してしまうというわけだ。むろん、マンガの事なので死んだりはせず、黒こげになって茫然としているだけだが。
 ところがMASTER KEATONには、これと異なる事が書かれている。

MASTER KEATON 第七巻 Chapter8 出口なし

作 勝鹿北星 画 浦沢直樹

「銃口に指を突っこんでも、銃は暴発しないのか?」
「ああ…みんなが映画か何かで、信じてしまった迷信だ。鉛の弾は、時速千キロ以上で発射される。引き金を引かれたら、指は簡単にガス圧で吹き飛び、弾は私の体に突き刺さる。」

 さて、どちらが正しいのか?
 検索してみると、以下のページが見つかった。ところが指でふさいでも撃ち抜かれるだけという回答と、散弾銃だったら銃身の先端が薄くなっているので破裂する可能性はあるという回答と二つある。
 そもそも「薬室もしくは銃身が破裂する事故の事」は暴発ではなく「腔発」と言うのだそうだ。

 以下のページでは「銃口に入った物によるが、指では影響なし」というのが回答。ただし銃の種類にもよるようだ。ページの中程に「漫画などで、銃口に木の枝や指(?)を突っ込んで相手に撃たせて暴発させる…というのを見た事がありますが、本当にそんな事が起きるのでしょうか?」という質問が載っているので、そこを見てほしい。

 銃身が一番弱くなる様に設計して、異常高圧が発生したら最初に銃身が裂けるようにする事で機関部の破損を避ける、という説明が以下のページにある。ここには裂けた銃身の写真も載っている。
 銃身が裂けると射手に致命傷を負わせるというのも、間違った思い込みの様だ。